奨学生紹介

S.K
イギリスイギリス
卒業生

オックスフォード大学にて、治療方法の少ないALSに対する有効な対処法の発見に繋がる可能性のあるプロジェクトで研究を継続中

S.Kさん(2013年度奨学生)
留学先:オックスフォード大学
専攻:有機化学

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留学を通して得たもの
海外留学の中で最も価値のある経験になったのは、研究や学業の環境やシステムを交渉によって改善できることを学んだ点です。研究を進める上で問題にぶつかった時に、一人で抱え込まず、必要に応じて適切に話し合いの機会を作り、丁寧な態度で大学や学科側と交渉することで、柔軟に学生側の要望を受け入れてもらえました。この体験は、単純に研究や学業で得たものと同じかそれ以上に自分の成長の糧になったと感じています。
現在のお仕事について
現在もイギリスでの留学を継続し、研究を続けています。
研究内容は、MRIに応用されている技術の基礎となっている核磁気共鳴(NMR)と呼ばれる測定手法を用いて、病気の原因となるウイルス性タンパク質や筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬候補である分子の挙動を高感度に追跡できるような化学プローブの合成と新規な測定手法の確立を目的として研究を行っています。これらの基礎研究が実を結ぶのには長い年月が必要かもしれませんが、長期的にはウイルスが細胞に感染するメカニズムの理解や、治療方法の少ないALSに対する有効な対処法の発見に繋がる可能性のあるプロジェクトです。自分の研究が実社会に役立つことを夢見ながら、日夜実験に取り組んでいます。
これからの目標
将来的に企業に就職するのかアカデミアに残るのかなど、具体的なキャリアはこの研究の成果次第で決まってくると思います。ですので、まずは今取り組んでいる研究を成功させるために全力を尽くしたいと考えています。今はまだ漠然としていますが、長期目標としてはなんらかの形で日本の科学研究に寄与したいです。
支援者に伝えたいこと
日本は「留学するための奨学金が少ない」という声をよく聞きますが、他国の事例を見てみると、奨学金を出す代わりに卒業後の母国での就業を義務付けるケースもあります。将来の進路を幅広く考えられる日本の奨学金は留学生にとってとても大きな価値があります。こうして現在も研究が続けられるきっかけを与えてくださったBCJ奨学金には感謝の想いです。BCJ奨学金を通じてひとりでも多くの日本の未来を担う若者が、自由な選択肢の下海外で学べるよう、ご支援のほどよろしくお願いいたします。